トンネル堀り、物資調達係、機械製造屋(トンネルに空気を送り込む装置)、トンネルの入り口から目標の森までの距離を測る計測屋、堀った土をカムフラージュする分散屋、脱走者の服装を揃える仕立て屋、写真入りの身分証明書などのニセ物を造る偽造屋、警備の裏をかくための偽装と緊急情報を発信する警備屋・・・などの役割が決まり、統率の取れた脱走計画が実行されていった。
3本のトンネルのうち発見されたり、崩れてしまったりで2本は失敗したが、トンネル「ハリー」が目標に到達して、脱走計画が具体化した。先頭者がトンネルを通り地上を覗いて驚いた。収容所から近くの森までの距離を約100mと計算していたが、6mほど足りず監視兵に見つかりやすい芝生の中が出口であった。それでも監視兵が横を向いたすきに一人ずつ抜け出す工夫をして76人が脱出したが、77人目が歩哨に発見されて脱走が発覚する。
収容所の脱走に成功した捕虜たちは様々な手段で逃走を続けていったが、途中で捕まった50名はゲシュタポの管理下に置かれて、護送の途中で全員銃殺されてしまった。脱走に成功したと思われるのは、ボートで逃げて港に着き中立国の貨物船に乗った2名と、フランスでレジスタンスの助力を得て国境を越えて目的地スペインに向かった1名の3名である。
*フリー百科事典「ウイキペディア」の「大脱走あらすじ」を参考にしてまとめる。
(報告・写真:熊谷康夫)
*出席者からの感想
(1) 石黒 廣行さん (専攻課程
3期)
「大脱走」を何十年前に見たか忘れたが、ウキウキして出かけた。なぜこの映画に興味を持ったのかは、この映画が作られた時は私が高校1年生の時で、主演のスティーブ・マックイーンのカッコよさが印象に残っていた。その後テレビ等で再放送を見たが、自分自身が70年以上の人生経験を経た今、この映画を見てどのような感傷を持って見ることが出来るのか興味があった。この映画が作られた時代は映画俳優の人気はすごく、世界の中心にいる人達に思えた。
映画ではマックイーンが主役だが、実際に盛り立てていたのは、その後多くの映画で主役を演ずる脇役の人たち(チャールズ・ブロンソンやコバーン)の演技がすばらしかった。内容は戦争映画だが戦闘シーンは無く、捕虜になったとしても脱獄して相手の兵士が脱獄者を探させることも、相手国に対して後方攪乱の立派な戦術になるという考えに驚いた。戦争は良いことではないが、人間は目標を持つとどんな仲間でも協力しあえて目標に向かっていけるということを学んだ。
(2) 対尾 雅之さん (16期)
この映画は、実際にあったことを基にしており原作の本もある。捕虜収容所は、こんな ほのぼのしたものではないと思うが、個性豊かな人々が大脱出計画を進行する姿が、コミカルな表現も交えながら進められ、戦争映画であることを忘れてしまう。
名の知れた俳優がたくさん出演しているが、「チャールズ・ブロンソン」と「ジェームズ・コバーン」はまだまだ新人で、この映画と「荒野の七人」に出演して注目され、この後、主役級をやるような大スターになったとのことだ。
運転免許の認知機能検査後、テレビの音声が聞こえ難くなった。「午前10時の映画祭り」の作品は、音声も修復されているようで明瞭に聞き取れ、それに、洋画では字幕に慣れ自然に鑑賞できる次回も都合をつけて参加したい。
(3) 野本 英夫さん (専攻課程
2期)
連合軍の捕虜たちは、脱走してドイツ軍を混乱させることを第一義にひたすら脱走の準備に明け暮れる。3つのトンネルを掘って250名を脱走させる計画が着々と進む。大変な苦労のもと76名が脱走する。脱走後のシーンは一変する。今までの収容所や堀続けるトンネルの閉鎖的なシーンに比べ、列車や自転車で逃げる。ハラハラドキドキの連続である。一番の見せ場は、ミッチミラー合唱団&楽団の大脱走マーチをバックにマックイーンが草原をバイクで疾走する場面である。脱走できたのは僅かに3名のみ。それが戦争の現実なのである。
いずれにしても、ジョン・スタージェス監督の先を見る目の一大傑作の映画である。
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