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クラブ活動報告「映画を楽しむ会」−41
娘を失い心の救いを美少年に求める
−「ベニスに死す」− |
本日の参加者
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日 時:2019(R1)年9月12日(木)
10:00a.m.〜1:30p.m.
・ 作 品:1971年/イタリア・フランス/
カラー/130分
・ 会 場:こうのすシネマ
・ 参加者:8名
・ 昼 食:サイゼリヤ
静養のためベニスを訪れた老作曲家アッシェンバッハは、ふと出会った貴族の血を引く美少年タジオの美しさの虜となる。アッシェンバッハは、愛する一人娘を失い、病に侵される。ベニスの海辺で繰り広げられる人々の姿は、愉快で楽しさにあふれている。
しかし、アッシェンバッハはホテルのちょっとした過ちも許せない。予定を切り上げ帰ろうとするが、そこで見かけたタジオの言動や笑顔に、魅了されてしまう。娘を失った悲しみは、タジオの姿を見ることによって心の落ち着きをとり戻す。日々、少年の姿を追って、街を彷徨し続ける。
ベニスではコレラの伝染によって、人々の心持は暗くなっている。海岸でタジオの姿を遠くから見ながら、アッシェンバッハは静かに息をひきとる。タジオを演じた俳優は、男性とはいえ女性の雰囲気を漂わせる美少年であった。
現代のベニスは、実に華やかな雰囲気を持った観光地であり、十数年前に訪れたことがある。映画では約100年前のベニスの海やゴンドラ、橋、市街を見ることができ、二度旅をしている雰囲気で鑑賞することができた。
(報告:瀬山宏昭、写真:熊谷康夫)
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昼食風景1
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昼食風景2
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昼食風景3
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映画「ベニスに死す」を見ての感想 専攻3期 石黒廣行
5年前にベニスを訪問したが、私がこの映画に興味を示したのは、この映画で約100年前のベニスはどのように描かれていて、現在のベニスとどのくらい違うのか知りたかったのが一番であった。私が行った時のベニスの街は、歴史を重ねた古い石造りやレンガの建物が溢れており、その建物の間をゴンドラが観光客を乗せて運んでいた。その時はヨーロッパの観光客を乗せた大型客船が接岸していて、観光客で真っすぐ歩くのが大変なほどであった。
映画の中のベニスは昔の姿で、建物は古ぼけており衛生面が酷く、今のベニスの街とは思えない時代の設定であった。当時の貴族や上流社会の人が、ベニスへ夏のバカンスに来ている設定であったが、私が一番時代を感じたのはその服装であった。女性は白い洋服を着ていて、ホテル内でも大きな帽子を被り、顔が直接に見えないようにベールをしていた。男性はネクタイを着用し、モーニング服で食事をしていた。特に、当時の時代を表していたのは海辺の様子で、男の子の水着が上下一体となっていて、昔の女性の水着を思い出した。水着姿の女性は見当たらず、海で泳いでいる人もいなかった。
音楽の世界に限界を感じた老作曲家が一人の若者に出会い、恋をしたが、一言の言葉をかけた訳でもなく、別れるという筋であった。別れの原因は、当時ヨーロッパに蔓延していたコレラに罹り、ベニスで死んだというものであった。
終了後の昼食時に皆さんの感想を聞いたが、この映画で何を伝えたかったのか、明快に応えてくれた人はいなかった。分からないことがこの映画の「ネライ」か、と思いながら帰ってきた。
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