|
「映画を楽しむ会」活動報告‐57
“「峠」: 最後のサムライ ” 長岡藩/河合継之助 |
本日の出席者の皆さん
|
・日
時:2022年6月24日(金)9:25〜11:25a.m.
・原 作:司馬遼太郎「峠」
・監 督:小泉堯史、
・出 演:役所広司、松たか子、香川京子、田中 泯、永山絢斗、
榎本孝明、仲代達也
・作 品:2020年/日本/カラー/120分
・会 場:こうのすシネマ
・参加者:6名+2名(定例会以前に鑑賞)
・昼 食:サイゼリヤ
司馬遼太郎の作品は、読む人々に深い感動を与えるものが多い。今月は、年間の鑑賞予定の「アポロ13」に替えて『峠』を鑑賞した。私は早乙女貢著『会津士魂
全13巻』を読んでの、この作品との出会いであった。
慶応3年(1867)、大政奉還。260年余りに及んだ徳川幕府は、終焉を迎えようとしていた。越後の小藩、長岡藩の家老・河井継之助は、東軍・西軍いずれにも属さない武装中立を目指す。
長岡藩には河井継之助がいたことは知っていたが、これほど妻を愛し、国を想い、戦いの無い世を願ったサムライがいたことを、改めて知った。配役陣も、役所広司、松たか子、榎本孝明、仲代達也などが登場し、作品の重厚さを高めた。
継之助が死に直面して、人間の生きがいにふれた「元気、勇気、気」の三つの言葉が強く印象に残る映画であった。
(報告:瀬山宏昭・写真:熊谷康夫)
< 参加者の感想 >
● 古荘元信さん(専攻5期、北本市)
今回は「映画を楽しむ会」のあった金曜日にあいにく予定が重なり、二日前の水曜日に観てきた。
この映画は司馬遼太郎原作の歴史小説「峠」を映画化したということなので、原作も読んでみようと思い、前もって新潮文庫(上、中、下巻)を買って読み始めたが、映画を観る前には読み切れなかった。熊谷さんから事前に提供いただいた読売新聞の紹介記事によれば、ロシアのウクライナ侵攻の時期に重なったのは偶然だが、幕末の越後長岡藩の家老「河井継之助」を演じた主演の役所広司は、「ニュースを見ながら、この映画が描く世界と似ていると感じている」と語っていた。なるほど、圧倒的な兵力を有する官軍と万やむを得ず戦いを強いられた長岡藩はウクライナに擬せられるかもしれない。
原作の方は、河井継之助が30歳で家督を相続した後、翌年江戸へ再遊学のため長岡を発つ場面から始まり、官軍との激しい戦いで負傷し、会津へ逃れる途中で亡くなる41歳までの10年間が描かれているが、映画の方は、長岡藩の上席家老、軍事総督として北越戦争の指揮を取った最後の一年のみが描かれているので、この映画の意味を理解する上でも原作を読んだことが良かった。
なお、原作者の司馬遼太郎は「峠」のあとがきで『私はこの「峠」において、侍とはなにかということを考えてみたかった。それを考えることが目的で書いた。その典型を越後長岡藩の非門閥家老 河井継之助にもとめたことは、書き終えてからもまちがっていなかったとひそかに自負している。』と述べている。
● 加藤 照さん(未来大学・令和3年卒、北本市)
封切り(6/17)上映一回目の「峠」を観てきた。司馬遼太郎の名著「峠」を題材にした作品で、越後長岡藩の武士、河井継之助を主人公にした物語である。
明治維新前の風雲急を告げる時代にあって、列強と伍するのではなく小藩の長岡藩が生き残る方策として継之助が考えたのは、東軍・西軍どちらにもつかず、スイスのように武装中立和平独立に挑むというものであった。民の暮らしを守るため、戦争を避けようとした発想の源は、若い頃に学び師事した山田方谷の教え、海外の考え方を取り入れた実学志向にあり。その意味で、薩長土肥の英傑の学びと軌を一にしている。それだけに小千谷会談の決裂は、相手が血気盛んな岩村軍監ではなく、勝と西郷のような間柄であったならば情勢は変わっていたかもしれない。歴史にIFはないが、継之助には日本のあるべき姿が見えていただけに、歴史の分岐点を見る思いがした。
それでも正義を貫き生きた覚悟には、引込まれた。越後は上杉の所領で代々義に篤い土地柄。継之助後も数多の傑物を輩出するなど、継之助の生き様が周囲を良化させる芯の強さに繋がっており、継之助は類稀な才覚を持つ立派な人物の証左と思う。
継之助には役所広司、妻 おすがに松たか子、この2人の存在感、凛とした佇まい、演技力は凄い。特におすがの踊りは秀逸、手の平、指先まで繊細、刀を受け取る時の所作も美しい。夫婦仲睦まじいのもいい。若いむつ(芳根京子)、松蔵(永山絢斗)も継之助にとっては子供のような存在、次の世代への希望に繋がる。周囲にも実力者を配しており、配役に無駄がない。小泉監督の描く司馬遼太郎の世界に魅了された。 |
サイゼリヤで昼食
|
上映予告ポスター
|
「アキラとあきら」のポスター
|
「PLAN75」の予告ポスター
|
帰りがけにエルミSMに立ち寄ったら、
七夕飾りがあった
|
|
|
|