7月8日(日)に、北本市文化センターで開催された、北本自然観察公園開設20周年記念フォーラムにおいて、「彩央会」が社会参加活動として年4回行ってきた自然観察公園の保全作業の貢献活動に対して、同公園の指定管理者である㈶埼玉県生態系保護協会から、団体としては初めての感謝状をいただいた。
当日は招待者として佐野会長に替って出席した副会長で社会活動部長の金子博さんへ、池谷同協会会長から約200名の聴講の方々や、この日はるばるブータンからこのフォーラムに招かれた王立自然保護協会常務理事ラム・ドルジ博士や、各界名士の方々の前で、盛大な拍手を浴びながら感謝状の授与が行われた。
なお、個人ボランティア53人に対して同様に感謝状が贈呈されたが、その中に北本在住の天野健(12期)さんがおられた,おめでとうございます。
これより先、「ブータンから学ぶ 自然と共に生きる心」と題したラム・ドルジ氏の特別講演が行われたが、その概要を同行の佐藤明さん(17期)にまとめていただいたので紹介する。
自然と共に生きる国ブータン:ブータンが取り組む持続可能な国づくり
ブータン王立自然保護協会 代表(常務理事) ラム・ドルジ
ブータンは第4代国王ジグメ・シンゲ・ワンチュクによって、「国民総幸福量」(GNH Gross
National Happiness)が唱えられ、通常先進国等でとられている「国内総生産」(GDP)という経済発展指針とは異なった国家の運営指標を採用している。これは国民を経済発展の恩恵としての生活向上の尺度を単に金額の増減という経済尺度のみによることなく、もっと広い概念である国民の受ける幸福度によって、その達成度を測ろうとするもの。すなわち、社会経済の発展とあわせて文化・伝統や自然環境の保護、そして良い統治(ガバナンス)の4本の柱のバランス良い調和こそ、国民生活にもたらす幸福量であるとするものだ。
とくに、海抜500mから7,000mにわたる多様性に富む自然の保護については、憲法で森林を国土の60パーセントを確保することを規定して、その達成に努力を払っているなど、先進国の経済優先の施策にかたよったものでは、国民に真の幸福はもたらされないとしている。それは、何十年、何百年先の国民の幸福のための施策として、経済の恩恵であるカネやモノからもたらされる便利さに対する欲望を抑えても、国の強固な意志として、その達成に取り組んでいる。農地や森林の開発、川の浄化などは優先的に有効な規制施策がとられていて、自然や環境は現在のわれわれのためにだけ存在し、その恩恵を費やしてしまってはいけないという考え方に徹して保護されている。
このような将来にわたっての持続可能な自然を維持するための努力は、王室がリードするカタチで行われており、また、その根底には仏教の自然思想や質素耐乏思想が基礎となって受容されていることも注目すべき点である。
(報告者:熊谷康夫、感謝状贈呈の写真は埼玉県生態系保護協会提供)
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