映画… 「宗像姉妹」を観賞

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「映画を楽しむ会」活動報告-81
「宗方姉妹(むなかた きょうだい)」を鑑賞
〜 当時の社会を浮き彫りにした小津監督の野心作 〜

本日の参加者の皆さん

● 開催日時:7月2日(火)、10時上映開始 
       集合:9時30分〜
● 場 所:こうのすシネマ
● 参加者:10 名
● 作 品:「宗方姉妹」、
      1950年/日本/モノクロ/114分
● 監 督:小津安二郎
● 出 演:田中絹代、高峰秀子、上原 謙、
      高杉早苗、笠 智衆、山村 聡、
      堀 雄二、
● 昼食場所:サイゼリヤ 7名

● あらすじ
 京都の寺を間借りする宗方忠親が、娘の満里子に東京での生活を聞いているとパリ帰りの田代がやってきた。忠親は、妹・満里子の面倒を見たり失業中の夫・三村亮助を抱えてバーで働いている姉の節子の身の上を案じていた。満里子が、なぜ田代と結婚しなかったのかと節子に聞くと、自分の気持ちに気づくのが遅かったと答える。夫の亮助は節子に離婚話を持ちかけ、抗議する彼女を殴ったが、発作で倒れ亡くなった。節子は、田代に夫の死を背負ったままでは再婚できないと打ち明けるのだった。
            (ウイキペディアより)


サイゼリヤでの昼食風景


近日上映作品のポスター

 《 ストーリー・解説  》
 がんで余命わずかな父・忠親(笠智衆)を持つ姉の宗方節子(田中絹代)と妹の満里子(高峰秀子)。
 進歩的な考えを持ち奔放に振る舞う満里子とは対照的に、古風な節子は失業中の夫・亮助(山村聰)を抱え、バーの雇われママとして働く日々を送っていた。そんなある日、満里子の前にパリ帰りの知人・田代(上原謙)が現れる。実は田代は、かって節子が思いを寄せた相手だった・・・。
 私が推す日本映画の3代女優のうちの二人(田中絹代、高峰秀子)の共演(因みに残りの一人は吉永小百合)は見応えがあった。特に、若くお茶目な高峰秀子に目を見張った。
 この映画は小津安二郎が初めて松竹以外で撮った作品(新東宝)で、豪華な出演陣が話題になり、その年の興業成績第1位のヒット作となった。また、山村聰は、この年に始まった第1回ブルーリボン賞主演男優賞に輝いた。
                      (報告:岩佐正二、写真:石黒廣行)
《 参加者からの感想 》
◆ 大島かよ子さん(専攻2期、北本市)
 私が見た小津安二郎監督の映画は、「麦秋」、「小早川家の秋」、今回の「宗方姉妹」で3本目となります。小津監督の映画は有名ですが、どんな映画制作をするのか特に感心もなかったので、少し調べてみました。
 『中流家庭を舞台に親子の関係や人生の機微を描き、独自のローアングルの手法を磨き上げ、いわゆる“ 小津調 ”を確立し、日本映画界を代表する巨匠となる。』と書いてありました。たしかに今回の映画でも、人生の機微が描写されているシーンを感じました。
 献身的に、夫に尽くしている姉の節子(田中絹代)、失業中のダメな夫(山村聡)。上原謙が演じる田代宏と、節子との昔からの微妙な関係。最後、夫が心筋梗塞で亡くなってしまった。初恋相手であり、今は家具店を営んでいる田代が一緒になろうと節子に言うが、節子が断るシーン。どんな気持ちだったのだろう。男と女の心理を考えると女性の強さ、意地を感じた。その他、夫が節子にビンタ(他人のほほを平手で打つこと)を何回もくわすシーンは、ちょっと衝撃的でした。
 最後の方は、なかなか起承転結があって、良かったです。田中絹代さん、高峰秀子さん、山村聡さんの演技力が素晴らしかったです。
 余談ですが、皆さんとお食事が終わってから、深井みち子さんと2人で、佐藤愛子原作「九十歳。何がめでたい」を観てきました。面白かったです。佐藤愛子さんは、2023年に100歳になられたとテロップに出ていました。今日は2本建て映画を鑑賞してきました。

◆ 石黒 廣行 さん(専攻3期、北本市)
 本日の映画は、74年前に制作されたもので、当然白黒映画でした。当時の東京、京都の建物が映り、現在のビル群と比べて懐かしい貴重な映像でした。当然として俳優の名前と顔が一致せず、昼食時に先輩に確認しました。
 自分はタバコを吸わないので、当時の女優が吸っている映像は、今の時代からすれば驚きの世界でした。また、当時の恋愛映画の表現が現在と違っていたので、今の若い人がこの映画を見たらどう思うか?興味津々です。
 映画は座っていれば70年前以上の世界に入ることが出来、タイムスリップしたようで、映画の楽しみの一つと感じました。

◆ 古荘 元信 さん(専攻5期、北本市)
 この映画は、田中絹代演ずる三村節子の夫三村亮助(山村聡)という人物をどう考えるかによって、評価が分かれてきます。この夫は、どうやらインテリらしいのですが、戦後の価値観の変化について行けず、無職で自堕落な生活を送っています。この夫を、妻の節子はバーで働いて献身的に支えています。要するに男性優位社会の典型的な夫婦と言えるでしょう。こんな夫婦と一緒に暮らしている妹の満里子(高峰秀子)は自由奔放な生き方をしており、我慢が出来ません。そんな家族のところへ、節子の初恋の相手でもある田代宏(上原謙)が現れます。田代はフランス帰りで神戸で家具会社を経営し、裕福な生活をしており、落ちぶれた生活をしている節子の夫とは対照的な人物です。
 妹の満里子と夫の亮助は、節子の日記を盗み見て、田代が節子の初恋の相手であったこと知ります。妹の満里子は姉を田代に近づけ、経営の苦しくなったバーの資金援助までしてもらいます。このことを知った夫の亮助は節子に離婚話を持ち掛け、納得しない節子に暴力を振るい、破局を迎え、泥酔して自宅に戻った亮助は心臓発作で急死します。こんな男をどうしようもない馬鹿な奴だと切り捨てるか、可哀想な人間だと思うかは人によって分かれるかもしれません。小津安二郎監督は、可哀想な人間だと考えたのでしょうか?最後のシーンで夫の死という暗い影を背負った節子は、田代に別れを告げて去ります。
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