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「映画を楽しむ会」活動報告‐68
伊丹十三 監督作品 第1弾「お葬式」を観賞
ー 喪主のとつとつとしたお礼の言葉に胸を打つ ー |
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本日の出席者の皆さん
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・ 日 時:
2023(R5)年6月6日(火)10:00 a.m.〜12:10
・ 監 督:伊丹十三
・ 出 演:山崎 努、宮本信子、菅井きん、大滝秀治、
財津一郎、笠 智衆
・ 作 品:1984年/日本/カラー/124分
・ 会 場:こうのすシネマ
・ 参加者:12 名
・ 昼 食:サイゼリヤ(11 名)
* 集合写真を撮影後に、隣りの鴻巣市民活動センターで開催中の『奥会津郷土写真家
星賢孝:只見線鉄道 風景写真展』を見学し、その後に昼食会場に移動した。
<解説> 岩佐正二
俳優の井上侘助(山崎努)は妻で女優の千鶴子(宮本信子)とCM撮影中に、伊豆の別荘で暮らす千鶴子の父・真吉が亡くなったという知らせを受ける。
侘助夫婦は二人の子供やマネージャーの里見とともに伊豆へ向かい、葬儀の準備を始める。
親族代表として葬式を取り仕切ることになった侘助は、「冠婚葬祭入門」のビデオを見て葬儀の段取りを研究。
その間にも親族が集まってきて、侘助の愛人・良子も手伝いにやってくる。侘助は良子を何とか追い返し、通夜、葬儀とてんてこ舞いの忙しさの内に、葬儀は進んでいく。
侘助と千鶴子は、伊丹十三監督・宮本信子夫妻がモデル。撮影は、湯河原町にある彼らの別荘が使われた。
この映画は日本アカデミー賞で伊丹十三が監督賞と脚本賞、侘助役の山崎努が最優秀主演男優賞を受賞。さらに、真吉の妻を演じる菅井きんが、告別式の席で喪主としてとつとつと心情を語る名演で、最優秀助演女優賞を受賞している。
冒頭のCM撮影の場面から面白かったので、楽しみに見ていた。葬儀に集まってくる親族の応対に困る侘助の奮闘ぶりは、ユーモラスであった。
また、個性豊かな登場人物 大滝秀治、佐野浅夫、江戸屋猫八、笠智衆、田中春雄、藤原鎌足といった人たちも、楽しませてくれた。
なお、エンドロールのスタッフに助監督 黒沢清とあった。いま花を咲かせている黒沢清監督の修業時代を見た思いがした。
<参加者の感想>
◆ 古荘元信さん(専攻5期、北本市)
「お葬式」は、1984年に公開された伊丹十三監督のデビュー作品だが、今回初めて観た。葬儀にまつわる人間模様がコミカルに描かれていて、楽しめた。私事になるが、同居していた母が亡くなったのも丁度その頃で、やはり自宅で葬儀を行い、勝手が分からず慌てふためいたこと、浄土真宗の僧侶に来てもらったこともこの映画とそっくりだった。
もっとも映画の方は湯河原の別荘で、僧侶役の笠智衆はロールスロイスに乗ってやってきているので、狭いわが家で、僧侶がバイクにまたがってやってきた古荘家の葬儀とは、まるで格が違ったけれど。ただ、笠智衆が演じた僧侶が唱えていたお経は、浄土真宗とは全く異なる出鱈目だったが、名優が演じるとそれなりに聞こえるのは流石だと思った。大滝秀治、江戸屋猫八のとぼけた演技も面白く、久しぶりに映画の面白さを味わわせてもらった。
◆ 菅原邦子さん(未来R3、鴻巣市)
弔電の配達人が井上陽水だったのは、驚きだった。全く気がつかなかった。小林薫も岸部一徳も、若かったね。「ある、ある」とか「そう、そう」とか思いながら見た。
でしゃばってくる親戚とか高級車に乗るお坊さんとか、その場の空気を読まない人間とか… 。コロナ禍ですっかり葬式の形態も変わってしまったが、人はなかなか変わらないものである。面白かった。最後の場面、喪主の菅井きんの挨拶はかっこ良かった。
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昼食風景-1
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近日公開作品-1
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近日公開作品-2
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只見線鉄道 風景写真-1
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只見線鉄道 風景写真-2
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◆ 加藤 照さん(未来R3、北本市)
一見、陰キャラ・イメージの題材「お葬式」も、伊丹作品となると不思議と明るく面白い。例によって侘助(山崎努)、千鶴子(宮本信子)の主演コンビは伊丹夫妻がモデル。撮影地は彼らの伊豆の別荘が使われ、生活環境が垣間見える。脇を固める役者も伊丹作品の常連で
彼らの名演が彩を添えており、作品全体の重層感に繋がっている。さすがの出来映えである。
特に最後の喪主の挨拶のシーン、侘助に代わり故人真吉の妻(千津子の母役、菅井きん)のとつとつとした語り、周囲への気配りは丁寧で涙腺を熱くさせる。僧侶役の笠智衆も適役、変わらぬ安定感がある。
◆ 尾田昭子さん(専攻2期、桶川市)
6月の定例会は、義兄の葬儀に参列(5/31)した直後の鑑賞だった。
現実には起こりえない目を覆いたくなるような場面もあれば、葬儀が終了するまでの過程の感情の動きや仕草や表情では、悲しみだけでなく、笑顔になる瞬間もあり、見終わって「いいなっ!」と思った。
(編集・写真:熊谷康夫) |
昼食風景-2
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